そもそも整備管理者とはどのようなもの?
一般貨物自動車運送事業をはじめるとき、整備管理者の選任が必要になりますよね?
この整備管理者とは、そもそも何なのかというと、かんたんにまとめれば、”事業用自動車の保守管理”や”経済的使用を図る”ことを目的に、整備管理者を選任しなさいということになっているんですね。
…とはいえ、運行管理者のように難しい試験を受けて資格を取得する必要はありません。
@2年以上の実務経験
A研修を受ける
この2点を満たしていれば選任することができます。
けっして難しい要件ではないので、社長自ら、もしくは、信頼できる人を整備管理者に選任してしまいましょう。
1.整備管理者の選任
整備管理者の選任が義務付けされているのは、5両以上の事業用自動車(乗車定員11 人以上の自動車は1 両以上)。つまり、緑ナンバーのトラックや旅客で言えば、バス・タクシーなどを使用する事業者になります。
その整備管理者は、営業所ごとに選任しなければいけません。
だから、本社営業所と広島営業所の2つの事業所を持っていたら、それぞれの営業所に整備管理者を選任させなければいけないんですね。
ただ、整備管理者を選任すると言っても「Aさんお願いね。」の一言で終了するわけではなく、整備管理者を選任したら、所轄の運輸支局の整備部門に「広島営業所はAさんを整備管理者として選任しました!」という選任届をしなければいけないことになっています。
道路運送車両法第50 条第1 項(整備管理者)自動車の使用者は、自動車の点検及び整備並びに自動車車庫の管理に関する事項を処理させるため、自動車の点検及び整備に関し特に専門的知識を必要とすると認められる車両総重量8t 以上の自動車その他の国土交通省令で定める自動車であつて国土交通省令で定める台数以上のものの使用の本拠ごとに、自動車の点検及び整備に関する実務の経験その他について国土交通省令で定める一定の要件を備える者のうちから、整備管理者を選任しなければならない。
道路運送車両法施行規則第31 条の3(整備管理者の選任)
道路運送法第50 条第1 項の国土交通省令で定める自動車は、次の各号に掲げるものとし、同項の国土交通省令で定める台数は、当該各号に定める台数とする。
(1) 乗車定員11 人以上の自動車(次号に掲げる自動車を除く。) 1 両
(2) 乗車定員11 人以上29 人以下の自家用自動車(道路運送法(昭和26 年法律第183号)第80 条第1 項の許可に係るものを除く。) 2 両
(3) 乗車定員10 人以下で車両総重量8t 以上の自家用自動車及び乗車定員10 人以下の自動車運送事業の用に供する自動車 5 両
(4) 貨物軽自動車運送事業の用に供する自動車及び乗車定員10 人以下で車両総重量8トン未満の自家用自動車であつて、第2 号の許可に係るもの 10 両
2.整備管理者の資格要件
先ほども紹介したように、誰でも整備管理者に選任できるわけではありません。
整備管理者には”資格要件”というのがあるんですね。
その資格要件は、全部でふたつ。
ひとつ目は…
整備管理をする自動車(二輪を除く)の点検もしくは整備又は整備管理に関して2年以上の実務経験を持っていて、さらに地方運輸局長が行う研修(整備管理者選任前研修)を修了した人
そして、もうひとつが、
自動車整備士技能検定に合格した人
になります。
自動車整備士技能検定に合格するよりも、最初の条件である支局が主催の「整備管理者選任前研修」を受講かつ2年以上の実務経験で、整備管理者になるほうが現実的です。
そのため、多くの事業所は、整備管理士を雇うよりも、代表取締役が整備管理者に選任されているケースが多いですね。
道路運送車両法施行規則第31 条第4 項(整備管理者の資格)道路運送車両法第50 条第1 項の自動車の点検及び整備に関する実務経験その他について国土交通省令で定める一定の要件は、次の各号のいずれかに該当し、かつ、道路運送法第53 条に規定する命令により解任され、解任の日から2 年を経過しない者でないこととする。
(1) 整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検若しくは整備又は整備の管理に関して2 年以上実務の経験を有し、地方運輸局長が行う研修(整備管理者選任前研修)を修了した者であること。
(2) 自動車整備士技能検定規則(昭和26 年運輸省令第71 号)の規定による1 級、2級または3 級の自動車技能検定に合格した者であること。
(3) 前 2 号に掲げる技能と同等の技能として国土交通大臣が告示で定める基準以上の技能を有すること。整備
3.整備管理者の選任(変更)届出はいつまでにしなければいけないの?
もしも、会社が「Aくん、今日から君は整備管理者として頑張って欲しい。」ということで、整備管理者に選任したら、その選任した日から15 日以内に地方運輸局長(届出先は運輸支局)に届出をしなければいけないことになっています。
「整備管理者をAくんからBくんに変更しよう。」このように、整備管理者が変更したときも14日以内に届出することになっています。
道路運送車両法第52 条(選任届)大型自動車使用者等は、整備管理者を選任したときは、その日から15 日以内に、地方運輸局長にその旨を届け出なければならない。これを変更した場合も同様である。
≪届出を必要とする主な場合は?≫
※合併などで、町名や住居表示などが変わる場合がありますよね。
そのようなときは、変更の手続きがある場合に併せて行うことでOKになっています。
4.整備管理者選任届出の書き方は?
それでは、整備管理者の選任届出はどのように書けばいいのでしょうか?
じつは、このわかりにくい整備管理者の届出について、わかりやすい記入例を公開しているトラック協会があります。
(出典元:福岡県トラック協会HP)
福岡県トラック協会のHPを見ていただくとわかるのですが、整備管理者選任届出の”記入要領”が公開されています。なので、それを見ながら書けば、すぐに記入することができますよ。
ちなみに、記入例の内容は、
@ 選任(実務経験+選任前研修)
A 選任(整備士資格)
B 変更届出
C 解任届出
など、全部で4パターン。
どれも丁寧に書かれていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか?
5.Q&A
トラック協会のHPを見ると、地域によって様式が異なりますが、どこの地域の様式を使用しても受付を行ってもらえます。
できなくなってしまいました。
参考 通達:道路運送車両法の一部を改正する法律等の施行に伴う整備管理者制度の運用について(国自整第216 号 一部改正平成21 年11 月24 日)5-3.整備管理者の兼職及び外部委託について