運転者の数はどのくらい揃えておけばいいの?
トラック運送会社に勤めていない人でも、過労運転などによる交通事故がニュースなどで流れているため、トラック運転手は”過労になりやすい仕事”と知っている人も多いです。
ただでさえ、過労になりやすい仕事であるにもかかわらず、運転手の人数が足りなければ、ひとり当たりにかかる負担は、相当なものになります。
国もそのことを認識しているため、運送会社は「過労にならないように最低限、そろえなければいけない運転手の数」が法律で定められています。
では、国はどのようにして、運送会社に適切な運転手を揃えているのか判断するのか、その目安となるものを紹介していきたいと思います。
1.運転者の選任数の算出方法
それでは、運転者の選任数の算出方法についてみていきましょう。
事業計画に応じた運転者の選任数についての国土交通省の指針
国は、運転手を揃える目安として、次の計算式を公表しています。
(1) 営業所全体に公休日がある場合
荷主の休日にあわせて営業所全体が休みとなることが多く、週単位に休日があり、1
人1 車を原則とすれば、
〔運転者数〕×(7 日−休日数)≧{車両数}×(7 日−休日数)
↓
〔運転者数〕≧{車両数}
(2) 営業所全体が無休の場合
車両は無休で稼動し、運転者に週1 回の公休を与え、かつ、1 人1 車を原則とすれば、
〔運転者数〕×(7 日−休日数)≧{車両数}×7 日
↓
〔運転者数〕≧1.2(≒7/6)×{車両数}
たいていの運送会社では、1人1車で週1日のお休みが多いですよね。
だから、(1)が採用されるのですが、この場合、5両車両を持っていたら、運転者は最低でも5名以上は確保しなければいけないということになってしまいます。
また、(2)を見ると、車両が年中無休で走行している場合は、車両5両に対して、乗務員6名必要という計算になります。
2.運送会社の現状
ですが、多くの運送会社は、荷主ニーズに合わせた荷物を運搬しているため、さまざまなタイプの車両を所持しています。
そのため、国が目安としている指標を提示されても「車両は仕事に合わせて使用しているため、対応できない。」という運送会社がほとんどでしょう。
また、運転者の高齢化に伴い、確保することが困難な業界でもあります。
そのため、「車両≧運転者数」というのは現実てきではありません。
3.行政は選任運転者数だけで判断しない
この現実については、行政も把握しているので、指標としている計算式を用いて、対応していない運送会社については、即処分…ということはしません。
行政のいちばんの目的は、過労がない―ことです。
たとえば、仕事がなく、乗務員を雇えなくなった運送会社に処分するかというと、それはありません。
実際の監査では?
実際の行政監査では、選任運転者数と仕事量の実態を見て「運転手に無理な業務を押し付けていないか?」「あえて増員せずに利益を追求していないか?」など総合的に見て判断しています。
だから、荷主ニーズに合わせて、トラックを使用していても処分されるということはないんですね。
ただ、あまりにも車両数が多いにもかかわらず、乗務員の数が少なすぎる場合は、処分の対象になったり、最悪の場合、外部に委託、名義貸しを疑われてしまうので気を付けましょう。
まとめ!
運転者の確保については、行政も”過労防止”の観点から処分するか否か、判断しているようです。
…なので、「車両>運転手」だからといって過敏に反応する必要もありません。